ストレスとのつきあい方
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前回はストレスのお話を載せました。ストレスは心身に悪いものと思われていますが、私たちのこころの成長に役立つ場合もあります。
内田樹は、こどもの成長には2つの違ったことを伝える大人が必要だと言っています。例えばしっかり遊ぶことがこどもには大切だと、夏休みにキャンプに連れて行ってくれるおじさん。一方でやっぱり勉強が大切だと、一緒に勉強を教えてくれる父親。こどもは違うメッセージを伝える2人の大人の間で迷い悩みながら、一方を否定せずに答えを出すことで成長するというものです。大事なのはどちらかを否定しないで悩み続ける、哲学的用語を使うなら弁証法的に解決することが重要になります。そしてこの悩み続けること、ストレスに耐え答えを見つけ出す過程がこどもを成長させるというものです。
ところでわれわれはストレスにさらされると、そのストレスに対して立ち向かうか逃げるかの選択を迫られます。ここで大事なのは、立ち向かえるストレスには立ち向かう。一方でかなわないストレスから逃げる。この選択を柔軟に行えることがストレスから心身を守るために大切になります。ポイントは「柔軟」な選択です。その時々で立ち向かえる時もあればそうでない時もあります。立ち向かえない時はストレスから逃げることはとても大事なストレス対処法です。
そのうえで立ち向かえるストレスに上記のこどものように立ち向かうならば、その奮闘がわたしたち自身のこころの成長につながるでしょう。同じようにカウンセリングは今経験している苦しさを和らげるものである一方、自分を見つめなおすことにもなり、その過程は時に苦しいものになることもあります。しかしこの苦しい過程をカウンセラーと一緒に乗り越える作業が、私たちのこころに成長をもたらすことになるでしょう。